2015年 12月 24日
あまり知られていな事だとは思いますが、釘の話です。 釘は昔から使われてきたと思いますが、近頃はあまり良くない印象があるようです。 家具を作っていて度々聞かれる事ですが、釘を使っていますか? ん・・・・、使っています。・・・・・なにか問題があるのかな・・・・・? どうも釘は悪者、いい加減な仕事は釘をいっぱい使っている、 釘を使う仕事は半端な仕事と、思われているふしがあるかな? 今、普通に釘と言う時、形は丸棒の先が尖ったもの。(丸くぎと言います) しかし、ちょっと前の時代(明治以前くらいかな)は、断面が四角で作りが違います。 鉄を叩いて、四角のとんがった形に作り、それを釘としていました。 この様な形の釘を和釘と言いますが、歴史的には平安以前から使われてきた物だと思います。 木を扱う仕事の中で、どうしても釘という物を使わざるをえない場面があります。 釘でやるしかない仕事、これは認めてほしい、釘は必用な物なのです。 突然、話は、引き出しの作り方になりますが、近頃普通に見られるやり方は実は洋式で、 溝に底板を差し込んで上げ底になっています。 しかし和箪笥の引き出しは上げ底になっていなくて下から釘で打ち上げています。 この方式だと、無駄な空間を作らないですむのです。 両方の形式は良いところもあり、悪いところも有るのですが、好みとしては和のやり方が好きです。 そこで木釘の話になりますが、引き出しの底板を止めるのは木釘が一番かなと思います。 今も桐たんす屋さんや、桐の箱には木釘が使われています、が。 あの木釘、昔は徒弟制度の一番下っ端が作り、いろいろな素材で作られていました。 桐ダンス屋では今もウツギですし、細かなものには竹も使われています。 そのほとんどが規製品でたぶん中国あたりで作られているでしょう。 これは自分なりのやり方ですが、材質はホウ、素状の良い所を使っています。 昔は接着材があまり良くなかったので、丈夫な木釘が必要だったと思いますが、 最近の接着材は非常に優秀、接合面が離れることはほとんどありませんので、 材はホウで問題なしと考えています、竹やその他硬い材質の釘だと、鉋で削りにくく、 時には刃こぼれをしてしまう時もあります。 また使う場所に合わせて、木釘の大きさもさまざまな物を作っています。 下穴をあけるドリリビットも最近は市販品で良い物が出てきましたので、それに合わせて 木釘も作ります。ビットの上2本は昔の自作、下は市販品、テープは深さの目安です。 木釘を削る台ですが、試行錯誤のすえ今はこの形です。 一辺を削り終えたところですが、テーパーになっているのが分かるかな? もう片方を削って完成、かなりデリケイトな仕事で、なかなかたいへんです。 こんな木の釘で大丈夫?と思いますが。これが効きます、決まります。角度が大事なんです。 テーパーが強すぎると、底板が割れたり、固定が甘くなります。 逆にテーパーがゆるいと、底板が釘から抜けてしまいます。 ちょうどの時は、ほとんど抜けませんし、接着剤も効いてしまえば完璧です。
by Utiopepe
| 2015-12-24 22:23
| 仕事
|
Comments(1)
|
ファン申請 |
||